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二次電池設計の基本パラメーター

  • Masaharu Satoh
  • 3月9日
  • 読了時間: 5分

更新日:4 日前

二次電池の性能は、主に以下の設計パラメーターによって決まります。


活物質の種類と割合


活物質は電池の容量やエネルギー密度に直結します。リチウムイオン電池では、正極にリチウム金属酸化物、負極にグラファイトなどが使われます。活物質の純度や粒径も性能に影響します。


導電材の種類と割合


電極内の電子伝導性を高めるために導電材を添加します。カーボンブラックやカーボンナノチューブなどが一般的です。導電材の量が多すぎると容量が減少するため、バランスが重要です。


バインダーの種類と割合


バインダーは電極材料をまとめる役割を持ちます。ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などが使われます。バインダーの種類や量は電極の機械的強度やイオン伝導性に影響します。


電極の厚さと密度


電極の厚さを厚くすると容量は増えますが、イオンや電子の移動距離が長くなり、出力特性が低下することがあります。密度(締まり具合)も同様に、密度が高いとエネルギー密度は上がりますが、イオンの拡散が妨げられる場合があります。


これらのパラメーターは相互に影響し合うため、単純に一つを増やせば良いというわけではありません。最適なバランスを見つけることが設計の鍵です。


Close-up view of lithium-ion battery electrode surface
リチウムイオン電池の電極表面のクローズアップ

電解液とセパレーターの役割と選択


電解液とセパレーターは、電池の安全性や寿命、性能に大きく関わります。


電解液の種類


電解液はイオンの移動を担います。一般的には有機溶媒にリチウム塩を溶かしたものが使われます。電解液の組成を変えることで、温度特性や耐久性を調整できます。


セパレーターの材質と構造


セパレーターは正極と負極を物理的に隔て、ショートを防ぎます。多孔質のポリオレフィン系フィルムが主流です。孔の大きさや厚さ、耐熱性が性能に影響します。


電解液とセパレーターの組み合わせは、電池の安全性と効率を左右します。例えば、高出力を求める場合はイオン伝導性の高い電解液と薄くて耐熱性のあるセパレーターが望ましいです。


設計パラメーターの最適化戦略


二次電池の設計では、すべての性能を最大化することはできません。例えば、容量を最大化すると出力特性や寿命が犠牲になることがあります。そこで、目的に応じてパラメーターを調整します。


高エネルギー密度を重視する場合


  • 活物質の割合を増やし、電極を厚くする。

  • 導電材やバインダーの割合は最小限に抑える。

  • 密度を高めて体積あたりの容量を増やす。

ただし、イオン拡散が遅くなるため、充放電速度は低下します。


高出力性能を重視する場合


  • 電極を薄くし、導電材の割合を増やす。

  • バインダーはイオン伝導性の高いものを選ぶ。

  • 電解液のイオン伝導性を高める。

これにより、充放電速度が向上しますが、容量は減少します。


長寿命を重視する場合


  • 活物質の安定性を重視し、劣化しにくい材料を選ぶ。

  • 電解液の安定性を高める添加剤を使用。

  • セパレーターの耐熱性を強化。

寿命を延ばすためには、劣化メカニズムを理解し、それに対応した設計が必要です。


このように、設計パラメーターは目的に応じてトレードオフを考慮しながら調整します。


High angle view of battery assembly line in factory
工場内の電池組み立てラインの俯瞰写真

実際の開発現場での設計パラメーター調整例


ORLIBが関わったプロジェクトでは、ドローン用の高出力リチウムイオン電池の開発がありました。ドローンは短時間で大きな電力を必要とするため、出力性能が最優先でした。


  • 電極は薄く設計し、導電材の割合を通常より多めに設定しました。

  • バインダーはイオン伝導性の高い新素材を採用。

  • 電解液は高イオン伝導性のものに変更し、セパレーターは薄く耐熱性の高いタイプを選びました。


結果として、充放電速度が大幅に向上し、ドローンの飛行時間とパフォーマンスが改善しました。ただし、そのままでは容量は若干減少します。ORLIBは高容量負極活物質であるシリコンを使うことで減少分を補ってさらに高容量化する方法を提案しています。このように、用途に応じて設計パラメーターを調整することが重要です。


今後の二次電池設計の展望と課題


二次電池の設計は今後も進化が求められます。特に、持続可能な社会の実現に向けて、環境負荷の低減やリサイクル性の向上も重要な課題です。


新素材の開発


高性能かつ環境に優しい活物質やバインダーの研究が進んでいます。これにより、性能と環境負荷の両立が期待されます。


設計のデジタル化とシミュレーション


設計パラメーターの最適化には、シミュレーション技術の活用が不可欠です。これにより、試作回数を減らし効率的な開発が可能になります。


多様な用途への対応


ドローンや新デバイスなど、用途に応じたカスタマイズ設計が求められます。これには、柔軟な設計パラメーターの調整が必要です。


ORLIB株式会社は、革新的な新型リチウムイオン電池の開発と事業化を通じて、持続可能で豊かな社会の実現を目指しています。彼らは、高エネルギー二次電池の技術で新しい産業やライフスタイルを創出し、市場をリードしたいと考えています。


設計パラメーターの理解と最適化は、次世代電池技術の鍵となります。今後も技術革新に注目し、最適な設計を追求していくことが重要です。

 
 
 

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