次世代電池技術の展望とORLIBの取り組み
- Masaharu Satoh
- 1月21日
- 読了時間: 3分
更新日:5 日前
リチウムイオン電池の現状
リチウムイオン電池を電池気動車(EV)に搭載することを考えます。正極活物質として三元系活物質(LNMC811)を使う場合、その実効容量は活物質当たり200 Ah/kgとなります。EVに搭載する電池を80 kWhとすると、電圧3.6 Vより活物質の多さは次のように計算できます。
\[
\text{活物質の必要量} = \frac{80000}{200 \times 3.6} = 111 \text{ kg}
\]
分子式LiNi0.8Mn0.1Co0.1O2から80 kWhの電池を持つEVに使用されるそれぞれの元素は、効率100%で計算すると次のようになります。
Ni: 53.6 kg
Mn: 5.21 kg
Co: 6.77 kg
これとそれぞれの元素の産出量から、生産可能なEVの台数が計算できます。結果は以下の通りです。
Ni: 6,343万台
Mn: 29,951万台
Co: 3,501万台
LNMC811を使った電池は、産出するCoのすべてを使ったとしても、世界の4輪生産量9350万台(2023年)の1/3でまったく足りません。これではリサイクルもほとんど効果がなさそうです。
代替案の必要性
電池はEV以外にもスマートフォンや電力貯蔵など、様々な用途に使われます。効率的で豊かな未来を実現するためには、NiやCoを使わない別の代替案を考える必要があります。
二次電池の活物質
二次電池の活物質として、FeやMnを主成分とするものもあります。これらは資源的には問題なさそうです。Mnを使ったものには、リチウムリッチ系や5V系などの次世代電池の候補があります。しかし、これらは提案から20年近くたっても実用化されておらず、課題が残っているのではないかと考えられます。
一方、Feを使った活物質(LFP)はLNMCと同程度の容量を持ち、材料コストも大幅に低いです。しかし、電圧が低く、エネルギー密度は70%程度となります。LNMCとLFPのエネルギー密度をそれぞれ210 Wh/kg、および140 Wh/kgとすると、80 kWhのEVでは電池の重さはそれぞれ380 kgと571 kgとなります。
EVでは、電池も含めた車体の重量が重くなると、走行のためのエネルギーが大きくなります。また、大型のモーターや強力なブレーキシステム、頑丈なフレームが必要となり、効率が大幅に低下します。そのため、LFPを使う場合には電池を小さくして走行距離を犠牲にすることが多いようです。
ORLIBの提案
ここからは私たちの提案になります。ORLIBはSiの加圧電解プレドープ技術を持っています。この技術は、黒鉛の10倍を超える高容量のSiをプレドープすることによって、不可逆容量のない安定な活物質に変換します。
このプレドープSiは、Liイオン電池の様々な正極と組み合わせることが可能です。黒鉛を使った場合に比べて、エネルギーを1.5倍以上に増加させることができます。この技術をLFPに適用すると、エネルギー密度は140×1.5=210 Wh/kg以上となり、LNMCと同程度になります。
資源的に問題がないため、材料コストが小さく、長寿命で安全性にも優れています。さらに、LNMCと同等のエネルギー密度が可能となります。この電池の特性は、実験室で試作した電池ではありますが、きちんとした動作が確認できています。
現在、様々な電池の開発が進められていますが、LFP/Si電池は主な要素技術の開発が終了しています。今後10年程度の期間は、世界を席巻する可能性が高いと考えています。ORLIBはいくつかの特許を出願し、中心になって進めていくつもりです。一緒に進めていただける方は、ぜひご連絡ください。




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